気候変動時代の国際物流と対応策

現在、政治、経済分野での国際情勢が国際物流に大きな影響を及ぼしている。
この傾向は今後、常態化するものと考えられる。
しかし、コロナ後に顕著になる課題は気候変動よる物流への影響である。
具体的には以下の様なモノが考えられる。

① 天候変動と災害の影響:
極端な気象条件や自然災害(台風、洪水、干ばつなど)は、航空、陸上、海上の輸送手段に影響を与え、物流ネットワークを混乱させる可能性がある。
航空機の欠航、道路や港の閉鎖、物流施設の被害などが挙げられる。
*台風による港湾機能停止
*パナマ運河の通行可能船舶量が渇水により影響

② 気温の変動と冷蔵・冷凍輸送:
気温の急激な変動が食品や医薬品などの冷蔵・冷凍製品の品質や安全性に影響を
与る可能性がある。
冷蔵輸送の安定性が損なわれると、商品の品質が低下し、供給チェーンにおいて
損失が生じる可能性がある。
*海産資源における水温上昇被害の顕在化

③ エネルギー消費と環境への影響:
気候変動対策としてのエネルギー効率向上や再生可能エネルギーの導入は、
物流業界においても重要なテーマとなる。
エネルギーのコストや供給の変動は物流コストや運送手段の選択に影響を与える。
*CO2排出規制の強化
*川崎汽船は風力推進船を研究するフランスのベンチャーを買収

④ 供給チェーンの変動:
気候変動により生産地域や供給地域の気象条件が変わる可能性がある。
農産物の生産や供給が影響を受け、供給チェーン全体に変動が生じている。
*牧草の価格高騰で餌輸入量約2割減

⑤ 法規制とリスク管理の変化:
国際的な気候変動に対する対策として、各国が環境規制を強化する傾向がある。
これにより、物流業者は新たな規制やリスクに対応するための対策が必要となる。
*不作による輸出規制のグローバルな多頻度化

対策として

① 気象データのモニタリングと予測
気象予測企業等から気象データを入手し、予測を行う。
これにより物流ネットワーク内のリスクを事前把握し適切な対策が可能となる。
*グローバルな気象予想企業との情報交換チャンネル構築
*ローカルな気象情報と産業影響に関心を持つ

② 複数の荷主、提携企業の活用
同一業種荷主ではなく、荷主以外にも多種、多様な企業との連携を強化する。
これにより気象変動による影響を分散し、デポ運営を強靭性を向上させる。
*ネットワークとの情報交換の活性化
*連携メリットを生じるビジネス・モデル考案=輸出入ペア割インセンティブ

③ 自らのエネルギー効率向上と再生可能エネルギーの導入
輸送手段や物流施設のエネルギー効率を向上させ、再生可能エネルギーを導入する。
*省エネ化と再生可能エネルギーの積極活用
*サーキュレーションビジネスへの参入

④ 冷蔵・冷凍輸送の技術向上
食糧危機に対応する為、食品部流に関与する事は重要である。
冷蔵・冷凍技術に関する知見の導入と関連ネットワーク構築は必要不可欠である。
*冷凍コンテナの取り扱い検討=リーファープラグ導入
  *冷凍・冷蔵に変わる食品輸送技術開発=乾燥、殺菌、レトルト等

⑤ 環境規制への適応と持続可能な物流戦略の構築
環境規制の変化に迅速に適応し、持続可能な物流戦略を構築し、将来の法規制や顧客のニーズに対応する。同時に省エネルギーや低炭素な輸送手段を市場にアピール。
*EU規制に関する情報収集手段の導入検討
*QRコードを活用した物流状況の可視化と集荷法の多様化

⑥ 危機管理計画の策定:
地震、水害等の起こりうる災害に対する危機管理計画を策定する。
従業員の安全確保や物流ネットワークの緊急時の対応を迅速に行えるようなる。
*リスク対応を想定した訓練プログラムの作成と実施
*保険会社等と連携したリスクの洗い出しと対策会議常態化

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