海水攪拌によるプランクトン増=水産資源活性化=CO2回収&夏場の海面冷却
世界各地で高温、干ばつ等による食料不足が発生しています。
気候災害は激甚化し温室効果ガス削減・回収技術開発が求められています。
海では海面水温上昇により台風大型化・豪雨/豪雪被害の頻度が増加しています。
NPOエスコットでは2019年から波力による人工湧昇装置を開発し湧昇海域を増やす活動に取り組んでいます。
最新情報:波動式湧昇ポンプによる効果検証実験結果
湧昇海域とは
出典:ウキペディア
- 湧昇域は全海洋面積の0.1%程しかないとされるが、その生物生産量は海洋のあらゆる生態系の中でも際立って高く、非常に豊かな生態系が形成される。これは深海の栄養塩が海洋表面にもたらされることで、海洋の生産者である植物プランクトンの増殖をきっかけに、次々と上位の栄養段階にある生物が増えていくためである。湧昇域は好漁場となり、人間にも恩恵を与えている。
波動式湧昇ポンプとは?(≒海底水揚水装置)
波のエネルギーにだけで海水(湖沼では淡水)を表層汲み上げたり、逆に表層水を低層に送り込む装置です。
構造は水面に浮かんだブイ(浮体)に吊るした逆止弁付きパイプ管だけです。
わずか数センチの波でも人工湧昇効果をもたらします。
以下の様なケースでのモニターを募集しています!
- 海域の貧栄養対策として海底耕耘の必要があるケース。
- 赤潮、青潮の原因となる底泥の改質分解のソリューションを探しているケース。
- 新たな漁礁形態を検討しているケース。
- 海面水温上昇を抑えたいケース。
構造詳細と原理は?
水面に浮かぶブイ(浮体)とその下に吊るした逆止弁付きパイプより構成されます。
ブイ上昇時は弁が閉じてパイプ管内の水を引き上げる。
ブイ下降時は逆止弁が開き内部の水を表層に拡散する。
ブイの上昇速度が大きい場合、パイプ内部の水は上方向の運動エネルギーを持ちます。
揚水量はブイの上下運動変位と波の周期に比例します。
波・風をエネルギー源とし2次汚染は発生しません。


- 全体画像
- ホタテ養殖現場

- 湧昇ポンプ上部

- 高強度逆止弁
- 小波対応
湧昇ポンプがある場合とない場合の水温比較で湧昇を確認

- ポンプがない場合、日中の日射により海面水温が急上昇
- 青線=海面水温/赤線=海面下2m

- ポンプがある場合、低層からの冷水湧昇により海面水温は低層とほぼ同じ
最新情報:こちら
波動式湧昇ポンプの効果は?
1)海底耕耘(海の肥沃化)効果
効果-1:植物プランクトン増加と水産資源が活性化
効果-2:植物プランクトン増加がCO2を回収
効果-3:ヘドロ(嫌気性有機物堆積層がある海域)ではその分解が促され赤潮、青潮対策となる。
効果-4:嫌気性分解によるメタン(CO2の25倍の温室効果ガス)の発生抑制に繋がる。

- プランクトン増加とCO2吸収
- 出典:ハンブルグ大学

- 人工湧昇と魚類増、拓海
- 出典:日本マリンエンジニアリング学会

- 青潮発生
- 出典:PAKUTASO
2)海面水温冷却による期待効果
効果-1:水蒸気の供給制限
効果-2:台風、豪雨、豪雪発生抑制
効果-3:沿岸都市での熱中症対策(低層冷海水による熱吸収)
効果-4:海面の温水フタ除去による水産資源活性化(酸欠死対策)

- 気象庁HP

- 気象庁HP

- 出典:テレ朝ニュース
- メキシコ湾における魚の大量死
3)海面水温に関する最新調査
千葉県勝浦市は海流の関係で夏でも気温が30℃を超える事はめったにありません。
その勝浦にある「海中展望公園」における推進8mの年間水温と気象庁の海面水温データを比較しました。
※気象庁データの収集時刻がはっきりしない課題があった。
- 年間を通した平均の水温差は約1.7℃海面水温が高かった。
- 日別での海面水温>海中水温の出現比率は約95%であった。
- 年間を通じ6,7,8月は平均でも3℃以上海面が高かった。
- 日別最大の水温差は8℃であった。2022.08.18
- 9月、10月は台風による攪拌により水温差は小さくなった。
- 透明度は海面水温上昇時期に透明度が低く、プランクトンの影響が予想された。









波動式湧昇ポンプの開発状況は?
水深2-3m潜っただけで急に水が冷たくなることがあります。
この急な水温変化はしばしば水難事故の原因となります。
晴れた夏の日、表層水温は水深3mの水温と比べ最大3℃ほど下がる事が計測からわかってきました。
日射による海面水温の急上昇がその原因の1つと考えられます。


水深0.5mまでの海面表層で太陽熱のほぼ半分を吸収している事が分かります。

1mmの水層は3μm以上の太陽光中の熱成分波長をほぼ全て吸収します。
海面の表層数センチから水蒸気が大量発生していると考えられます。

波動式湧昇ポンプ:製品名「オーシャン・マドラー」の特徴は?
①ゼロ・エネ駆動:風波だけで24時間、365日働き続けます。
②高強度、高耐久性:長期洋上試験で得た経験が凝縮されています。
③経済性、汎用性:逆止弁以外は排水管等で構成され日本全国どこでも入手可能です。
④DIY対応:漁業関係の方が自分で制作し、敷設することが出来ます。
⑤大量敷設効果:通常時には漁礁としての効果が期待できます。

石巻市ホタテ養殖場での実施試験:全長約6m、下部はVU150管


低層の養分汲み上げ原理
①波が水面のブイを上昇させる。
②この時、ブイに吊るされた湧昇ポンプの弁は閉じているので管内水を一緒に引き上げます。
③ブイの上昇速度が下がると管内の水は慣性の法則で弁を押し開けて海面に。
④波の頂点からブイが下がり始めると管内水は下からの水圧により海面に。
⑤海底にある養分を海面に汲み上げます。

推定湧昇水量と計算式
波の周期が5秒とすると1日に17280回も上下運動を繰り返します。
仮にブイの振幅が50㎝、管の直径が20㎝とすると一つの波で約15リットル/回の水を汲み上げます。
一日当たり約270㌧の水が引きあがられる計算になります。(ブイの沈み込みロス/流水抵抗は含みません)
南海上で台風が発生すると3m程度のウネリが沿岸に押し寄せ、湧昇量はこの数倍になると考えられます。
台風自らのエネルギーを使い海面水温を下げ、水蒸気発を抑える効果が期待できます。

- 波力を利用した人工湧昇による魚類資源増強の人工湧昇
- 出典:オーストラリア、グリフィス大学ゴールドコースト校
攪拌効果
台風への水蒸気供給抑制
海面水温を1℃下げると水蒸気の発生は約7%抑えることが可能となります。(IPCC)

- 2023.8.9の海面水温
- 出典:気象庁HP


- 海から雲と波が沿岸にやってきます。2023.8.5
- 千葉県鴨川市
台風を利用する
①日本の南海上で台風発生
②台風による高波/ウネリ到着
③波力式湧昇ポンプが大きく上下し低層冷水引き上げ開始
④冷水拡散による敷設海域の海面水温低下/低層の養分拡散
⑤水蒸気供給抑制による台風の発達抑制

- 台風通過で海面水温低下
- 海底の栄養塩再拡散
設置場所周辺の水産資源活性化
海底の養分を汲み上げで植物プランクトンの増殖をもたらします。

- 海底に伸びた鎖が海底を耕します。

ヘドロの好気的分解=メタン、青潮の発生抑制
①底泥の有機物を24時間少しずつ好気的分解=水+CO2発生
②メタン発生抑制=温室効果作用を1/25に低減
③植物プランクトン増加
④沿岸の水産資源活性化

浚渫後の海底のくぼ地にたまる有機物をピンポイントで好気的分解

①低層堆積物(ヘドロ等)を湧昇
②海面の酸素と接触
③好気的分解
④青潮発生抑制&植物プランクトン増加
*陸からの風により青潮が発生し魚介類に被害を与える。
*海底くぼ地等で24時間365日少量ずつ分解する。
実験/動画


- 低層砂を汲み上げる動画

- 実験水域動画:千葉県御宿町、岩和田漁港
海外事例
ハワイ大学、オレゴン大学によるハワイ沖実験
「波浪ポンプ技術を用いたアップウェリング制御の外洋実験」



まとめ
①数センチの小波でも底層水を表層に汲み上げる事が出来る。
これまで海外で行われてきた実証試験は大型の湧昇ポンプであった。
これらの装置の多くは逆止弁構造によりメートル単位の波高を必要とした。
②弁体とフロートブイの改良による
*幅広左右不均一弁により微振幅で開閉
*閉じ力発生に弾性体利用(通常、重力式開閉)
*先端部の斜カットによる上昇時の流体抵抗と排水抵抗の両方を低減
*ブイ形状と偏荷重によるリフト効果を持たせた。
③汎用品使用による DIY 対応(低コスト)
*逆止弁以外は何処でも入手可能な下水用配管(VU 管と継手)を使用
*開閉補助用弾性体には古タイヤを起用
④導入、移動、修理、撤去、廃棄が容易
*湧昇パイプは塩ビ製の排水管なので全国どこでも安価に入手可能
*単一素材使用による廃棄時の分別作業削減
⑤ストンメルの永久沿線の原理との合わせ効果がある。
*湧昇パイプ管が水温の高い水面近くにあり波のないときでも水温差湧昇原理が働く
プロジェクト参加者募集
日本においても大型台風の発生頻度が増し、2019年には1兆円以上の災害規模を東日本にもたらした。
現在、海面水温上昇が26.5℃以上になると急速にパワーアップされることが知られている。
波動式湧昇ポンプの特徴は波(振幅)が高いほど大量の低層水を汲み上げ表層水温を下げる。
東京の場合、約1000㎞程の南海上で台風が生まれた時点からその波動がウネリとして近海に到着する。
そして低層冷水の湧昇が始まり、水蒸気供給を事前に、自動的に抑制する。
プロジェクト詳細 こちら
実施例/論文
プロジェクト参加企業・団体・個人向け資料
日本語 英語(English)
論文
オーストラリア・グリフィス大学
「波力を利用した人工湧昇による魚類資源増強の人工湧昇」
Brian Kirke*(ブライアン・カーク)
School of Engineering, Griffith University Gold Coast Campus, PMB 50, Gold Coast Mail Centre,
ハワイ大学、オレゴン大学
「波浪ポンプ技術を用いたアップウェリング制御の外洋実験」
ANGELICQUE WHITE
オレゴン州立大学、オレゴン州コーバリスの海洋大気科学部
KARINBJO¨RKMANとERICGRABOWSKI
ハワイ大学マノア校、ホノルル、ハワイの海洋地球科学技術学部
RICARDO LETELIER
オレゴン州立大学オレゴン州コーバリスの海洋大気科学部
STEVE POULOS、BLAKE WATKINS、およびDAVID KARL
ハワイ大学マノア校、ホノルル、ハワイの海洋地球科学技術学部
宮城県水産試験場:
「自然エネルギーを利用した湧昇流発生による養殖マガキの身入り向上に関する研究」
熊谷 明・押野 明夫
「深層水汲み上げによる海洋肥沃化実験」
-拓海プロジェクト-
THE SEA FERTILIZATION EXPERIMENT BY UPWELLING
DEEP OCEAN WATER – TAKUMI PROJECT-
大内 一之
Kazuyuki OUCHI
工博 ㈱大内海洋コンサルタント(〒389-0001 長野県軽井沢町塩沢湖野村C-11)
Ph.D., Ouchi Ocean Consultant, Inc.
研究開発支援企業一覧
研究活動資金は以下の会員の経済的支援により成り立っています。
賛助会員8社:
支援金額:5千円/月
(株)共同フレイターズ
シフトサービス(株)
吉田運送(株)
鈴与自動車運送株式会社
久和倉庫(株)
ヤマラク運輸(株)
青バラ運輸(有)
㈱丸山運送
正会員 41 社:
支援金額:千円/月
(株)タニタ
(株)日本能率協会総合研究所
日本フレイトライナー(株)
日本貨物鉄道株式会社
シリウス・コンサルティング(株)
早川海陸輸送(株)
群馬ジカハイ運輸(株)
郡山トラックセンター事業協同組合
東京貿易運輸(株)
(株)プランドール
(株)APT
永進運輸(株)
吉田運送㈱
ヤマニ屋物流サービス(株)
大竹運送(株)
八潮運輸(株)
(株)ホーユーサービス
茨城県運送事業協同組合
佐野市役所
U―パレット(有現会社デジレ)
㈱EF インターナショナル
関東サービス㈱
トレードシフトジャパン(株)
アトム・ロジスティックス(株)
能代運輸㈱
トライウォールジャパン㈱
白井エコセンター㈱
エコ・プランニング
(株)タクスト
(株)ロックイットグローバル
幸和運輸(株)
タツミトランスポート株式会社
オーオーシーエル ロジスティクス(ジャパン)(株)
神尾政志様(物流アドバイザー)
(株)義興業
みなと総合研究財団
日本トランスシティ株式会社
TRADE TECH JAPAN LLC.
藤本剛士(医師)
シンシアンクス合同会社
日本テクノロジー株式会社
オーパーツ株式会社
NPOエスコットでは供に働く仲間を募集しています!
新規入会特典
① 総エネ、省エネ、環境保全、物流改革分野でのマッチング支援:
4千を超えるリアルなネットワークでの多種・多様なマッチングを支援します。
② コンサルティング:
蓄積した自然科学、物流、人文系データを活用したアドバイスを受けることが出来ます。
③ 製品・サービス・システム開発参画:
研究開発、新企画等のプロジェクトにご参加いただけます。
④ リアルな交流:
ほぼ毎月実施される人財交流会に会員価格でご参加いただけます。
NPO法人エスコット
〒277-0011 千葉県柏市東上町4-17
試験場 千葉県夷隅郡御宿町上布施768-22
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