海面水温冷却&CO2回収:波動式湧昇ポンプ、モニター販売開始

これまで得られた調査知見による仮説とメカニズム:
1.水の赤外線吸収特性により水深10㎝程度に高温層が形成されている。
2.この高温層のフタはほぼ1年中存在し、酸素やCO2の海水への溶け込み量を制限する。
3.一方、水深3m程度のとろろには海面より2~3℃低い水が存在する。
4.ここの冷水を波の力で海面に拡散する事で海面水温を下げる事が出来る。
5.結果、生態系を壊すリスクの少ない方法で海洋へのCO2吸収量を物理的に増やすことが可能となる。

波動式湧昇ポンプ解説動画 → こちら

海面(または湖面)の水温上昇は5~10㎝の薄い層発生します。理由は水の波長吸収特性に・・・

1mmの水の層は3μ以上の熱線波長をほぼ全て吸収

この数メートル下には平均で2~3℃、最大で8℃低い冷水層が・・・
*勝浦では海面と水深8mで最大8℃の水温差を確認、その他の期間でも低温水層が確認

海面水温は95.54%の日別データで高い状態だった。(海面水温>水深8m水温の日数÷359日)

勝浦海中展望塔直下水深8mと気象庁データ比較、2022年4月~2023年3月


海面(湖面)水温上昇対策が気候変動リスクを下げる・・・
低層冷水の汲み上げ拡散は海面(湖面)の水温上昇を抑え、酸素やCO2の吸収量を増やし、水産資源の回復に寄与するものと考えられます。
夏場の日中、水深0.3mと2mの間にも約2~3℃程度の水温差がある事を計測により確認しました。
2,3メートル下の冷水を海面拡散する事で海面水温を下げる事が出来ます。
波動式湧昇ポンプ(オーシャン・マドラー)は波の上下運動と風の力だけでこれを可能にします。

波の上下運動で海水を汲み上げる逆止弁方式
汲み上げられた低層冷水が風により拡散

海面水温は日中急上昇し、大量の水蒸気を放出します。低層冷水の汲み上げはこの上昇を抑制・・・

通常海面水温=グレー/低層水汲み上げを行った海面水温=ブルー/水深2mの水温=赤とオレンジ

波動式湧昇ポンプによる海面水温冷却効果=最大2.8℃

低層冷水汲み上げ(湧昇=upwelling)により考えられる効果・・・

①仮に東京湾全域で海面水温が1℃下がると首都圏における夏場の冷房コストを減らす経済効果
②同様に熱中症リスクを下げ、ゲリラ豪雨対策等の減災効果
③水面冷却により大気中の二酸化炭素が海水に溶け込む量が増えるCO2回収効果
④同様に酸素が海水に溶け込む量が増えることで魚介類の酸欠死防止効果

海面を覆う高温水のフタが問題の原点

低層冷水汲み上げが循環改善をもたらす


海水温とCO2、O2の吸収量:二酸化炭素は水温が1℃下がると約0.7mol/m3増えるとのデータがあります。
低層冷水の汲み上げ拡散はCO2の物理的回収(DAC)装置としても機能する・・・

水温とCO2が海水に溶け込む量を表すグラフ
出典:日本マリンエンジニアリング学会詩、第39巻
「海水による二酸化炭素吸収に関する基礎的研究」
水温と溶存酸素の関係を表すグラフ

台風、ハリケーン対策として低層冷水の汲み上げ(湧昇)装置の国際的開発状況は・・・

低層の冷たい海水を汲み上げてハリケーンの発達を抑制する技術は海外でも研究されています。
以下は、関連する技術や研究を行っていると企業やプロジェクトの一例です。

  1. Blue Planet Energy Solutions
    海洋温度管理技術を利用して、海洋表面温度を低下させることでハリケーンの発達を抑制する技術を開発しています。この技術は、巨大なポンプを使用して冷たい深層水を表層に汲み上げるものです。
  2. Atmocean
    海洋ポンプシステムは、波のエネルギーを利用して冷たい深層水を表層に汲み上げ、海洋温度を下げることでハリケーンの発達を抑制することを目指しています。また、これによりプランクトンの生育を促進し、海洋生態系の健康を改善する効果も期待されています。
  3. Evertech Energy and Resources
    深層水汲み上げシステムを開発しており、これにより海洋表面温度を下げてハリケーンの発達を抑制することを目指しています。特に、ハリケーンが発生しやすい海域での実用化を目指しています。
  4. Ocean-Based Climate Solutions, Inc.
    深層水を汲み上げて海洋表面温度を下げる技術の開発に取り組んでいます。この技術は、ハリケーンのエネルギー源である暖かい海水を冷やすことで、ハリケーンの発達を抑制することを目指しています。

    まとめ
    これらの企業やプロジェクトは、低層の冷たい海水を汲み上げる技術を利用して、ハリケーンの発達を抑制するための研究と開発を行っています。まだ実用化には多くの課題がありますが、この技術が成功すれば、ハリケーンによる被害を軽減するための革新的な手段となる可能性があります。
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世界の湧昇海域の特徴と漁獲高情報・・・
”0.1%の湧昇海域が世界の漁獲高の約50%を占める”などと言われている湧昇海域を人工的に増やすこのが出来れば食糧危機対策となると考えられます。

ペルー・チリ沖(ペルー・フンボルト海流湧昇帯)
場所: 南アメリカの西海岸、特にペルーとチリの沖合
特徴: 世界最大の湧昇海域の一つ。南極の冷たい水が北上し、表層に栄養を供給。
漁獲高: アンチョビ、サバ、マイワシなどが豊富で、特にペルーアンチョビ(アンチョベタ)は世界の漁獲量の上位を占める。
カリフォルニア沖(カリフォルニア海流湧昇帯)
場所: 北アメリカの西海岸、特にカリフォルニア州の沖合
特徴: 季節的な湧昇が強く、春から秋にかけて栄養豊富な水が表層に上がる。
漁獲高: イワシ、アジ、サバ、カタクチイワシなどが多い。
カナリア諸島沖(カナリア海流湧昇帯)
場所: アフリカ北西部のカナリア諸島沖
特徴: 北大西洋の冷たい水が上昇し、表層に栄養を供給。
漁獲高: サバ、イワシ、マアジ、アンチョビなどが豊富。
ベンゲラ沖(ベンゲラ海流湧昇帯)
場所: アフリカ南西部、特にナミビアと南アフリカの沖合
特徴: 湧昇による冷たい水が表層に栄養を供給し、生産性が高い。
漁獲高: アンチョビ、サバ、ハタハタ、イワシなどが多い。

モニター販売するのは波動式湧昇ポンプの逆止弁部分・・・
丸ブイ、ロープ、塩ビ管はユーザーにご用意頂く事になります。
弁体側面を曲げ、弁フタを送水方向に長くすることで指向性を持たせました。

水層実験画像:白のラインが一定方向に向いているのが解ります。
  ↓
改良弁:youtube動画

Screenshot

モニター販売開始カタログ

設置、使用に関する電話アドバイスはこちら ⇒ 080-4365-0861 藤本まで

海面水温冷却&CO2回収:波動式湧昇ポンプ、モニター販売開始” に対して2件のコメントがあります。

  1. 豊田喜八郎 より:

    この技術はどこまで実用化が進んでいますか?
    ノルウェーで開発がすすめられている(ocean therm社)バブルカーテン技術
    との比較ではどうでしょうか?
    広大な海面に適用するにはどちらが実用的でしょうか?

    1. 豊田様
      コメントありがとうございます。
      Ocean Them社には昨年コンタクトしました。
      バブルカーテンとの違いは以下の点かと考えます。
      1.波動式は稼働において再生可能な波力(若干の風力)のみ必要となる
      2.波動式は台風(またはハリケーン)の発生とほぼ同時にやってくるウネリにより湧昇量を増やす、自動制御的機能が備わっている。
      3.波動式は台風発生時以外は人工湧昇機能を備えた漁礁として機能する。
      4.波動式は安価で漁業関係者レベルでの利用が可能=受風ブイ、湧昇ポンプ管すべて込みで10万円以下
      5.各国が水産資源の活性化目的で導入すれば気候変動対策ともなり得る。

      9月11日、波動式湧昇ポンプのオンライン説明会を行います。
      宜しければその場でお話しできればと思います。
      https://npo-escot.org/seminar/
      NPOエスコット 代表理事 藤本治生

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