波動式湧昇ポンプ概要説明書
<波動式湧昇ポンプ概要説明書>
風波エネルギーで低層水を汲み上げ海面に拡散する人工湧昇装置
開発目的:
- 水蒸気発生抑制による台風、豪雨、豪雪被害軽減
- 海洋プランクトンの増加と水産資源の活性化
- 低層養分の循環促進による海洋の肥沃化促進
- 海面冷却によるCO2回収量の増加
- 漁礁としての使用における漁業の持続可能性向上
パイプ管の上部にある逆止弁がブイの上下で開閉を繰り返し低層の水を汲み上げます。
汲み上げられた低層水は風による表層流により広域拡散され海面水温を下げます。
1.波動式湧昇ポンプの特徴
広域波対応:短周期のさざ波から長周期のうねりまで広域対応
=弁板を軽量化し、湧昇管を斜めにカットし上昇時の抵抗軽減で応答性向上
高耐久性:5年間の破損事例からの改善
=φ6㎜軸の重量蝶番、SUS316(防錆ステンレス)、ポリカーボネート2重弁板使用
生物着生:フジツボ、カキ類の付着防止ロープ
=パイプ内重り付きロープでの剥離方式
垂直維持機能:潮流による横倒れ防止
=パイプ内重り付きロープでの直立支持
安価・DIY:塩ビ管、既設の海上浮体(ブイ等)活用
=逆止弁以外は全てホームセンターで購入できDIY化
*Made in Japan 特許権取得済み *金属部品の一部は柏市内の工場で作成
2.湧昇量計算式とシミュレーション
*鉛直変位0.2m、周期2秒、湧昇管半径0.1m
*流水・水圧抵抗、ブイの沈み込みロス等は含んでいません。
3.構造、利点と効果、開発状況まとめ
①構造と原理
- 基本構造:
水面に浮かぶブイ(浮体)
ブイの下に吊るされた逆止弁付き異径パイプ
パイプ内の清掃兼直立支持ロープ - 動作原理:
ブイ上昇時:弁が閉じてパイプ管内の水を引き上げる
ブイ下降時:逆止弁が開き内部の水を表層の風下側に拡散する
②利点
- ゼロエネルギー:
波力を利用するため、外部エネルギー源が不要
2次汚染の発生を防止 - 多目的利用:
海面水温冷却による台風/豪雨制御
低層の酸欠状況改善
海洋プランクトンと魚介類の増加によるCO2削減効果 - 汎用性と標準化:
塩ビ管(VU100とVU200連結管)使用、部品の汎用性を確保
漁業関係者が自ら製造、使用、販売可能 - メンテナンスへの配慮:
生態系(海藻、貝等)の過剰付着防止機能の開発 - 適応性:
設置海域の特性に応じてサイズ、水深調整が可能
ノリ、アサリ、カキなど対象と海域に合わせた改良が可能
淡水域での使用可能 事例:長野県諏訪湖
4.現在の開発状況
- 磁力による生態系付着防止効果検証中
- 多様な海域での機能と効果確認が次のステップ
- 漁業関係者自身による製造・使用を増やす 事例:石巻市鮫浦湾ホタテ養殖場
5.人工湧昇の国内・海外事例
「自然エネルギーを利用した湧昇流発生による養殖マガキの身入り向上に関する研究」
研究の目的
- 自然エネルギーを利用した湧昇流発生装置の開発:
• 波力を利用した波動式湧昇ポンプを開発し、養殖海域での栄養塩供給を目指す。 - 養殖マガキの身入り向上:
• 湧昇流による栄養塩供給が、マガキの成長と品質向上に与える影響を検証する。 - 持続可能な養殖技術の確立:
• 外部エネルギーに依存しない、環境に優しい養殖支援システムの構築。
この研究は、自然エネルギーを活用した持続可能な養殖技術の開発を目指しており、マガキの品質向上だけでなく、海洋環境の改善や気候変動対策にも寄与する可能性を示しています。波動式湧昇ポンプの実用化により、環境に配慮した効率的な養殖業の実現が期待されます。
宮城県水産試験場:熊谷 明・押野 明夫
「深層水汲み上げによる海洋肥沃化実験」
実験の目的 - 海洋生産性の向上:
• 深層水の栄養塩を利用して植物プランクトンの生産量を増加させる。
• 食物連鎖を通じて動物プランクトンや魚類の生産量増大を図る。 - 自然循環型の生物生産技術の確立:
• 自然海洋の仕組みを利用した、持続可能な海洋資源増大手法の開発。 - 深層水利用の可能性検証:
• 深層水の富栄養性を活用した海域肥沃化の実現可能性を検証する。
深層水汲み上げによる海洋肥沃化は潜在的な可能性を持つものの、実用化にはさらなる技術開発と研究が必要であることが示されました。
-拓海プロジェクト- 大内 一之 工博 ㈱大内海洋コンサルタント
「波浪ポンプ技術を用いたアップウェリング制御の外洋実験」
推測される実験の目的 - 波力を利用した湧昇流発生装置の外洋での性能検証:
• 波浪ポンプ技術を用いて、外洋環境下での湧昇流(アップウェリング)制御の実現可能性を検証する。 - 深層水汲み上げ効果の検証:
• 低層水の汲み上げ量や栄養塩供給効果を実海域で測定する。 - 環境への影響評価:
• 湧昇流発生が周辺海域の生態系や水質に与える影響を調査する。
予想される実験結果 - 装置の性能:
• 波の周期と大きさに応じて、1日あたり100〜300m³の低層水を汲み上げることが可能。 - 栄養塩供給効果:
• 深層水の汲み上げにより、表層の栄養塩濃度が増加する可能性がある。 - プランクトン増殖:
• 栄養塩供給により、植物プランクトンの増殖が促進される可能性がある。 - 環境への影響:
• 局所的な水温低下や溶存酸素量の変化が観測される可能性がある。 - 技術的課題:
• 外洋環境下での装置の耐久性や安定性に関する課題が明らかになる可能性がある。
結果:
ハワイ沖で波動式湧昇ポンプの実証実験を実施。
冷水の汲み上げとプランクトンの増加を確認したが外洋での強度設計不足により、約1週間で装置が破損。
オレゴン州立大学オレゴン州コーバリスの海洋大気科学部
ハワイ大学マノア校、ホノルル、ハワイの海洋地球科学技術学部
6.海面水温冷却によるハリケーン制御技術開発を行う海外企業・団体
- Blue Planet Energy Solutions
海洋温度管理技術を利用して、海洋表面温度を低下させることでハリケーンの発達を抑制する技術を開発しています。この技術は、巨大なポンプを使用して冷たい深層水を表層に汲み上げるものです。 - Atmocean
海洋ポンプシステムは、波のエネルギーを利用して冷たい深層水を表層に汲み上げ、海洋温度を下げることでハリケーンの発達を抑制することを目指しています。また、これによりプランクトンの生育を促進し、海洋生態系の健康を改善する効果も期待されています。 - Evertech Energy and Resources
深層水汲み上げシステムを開発しており、これにより海洋表面温度を下げてハリケーンの発達を抑制することを目指しています。特に、ハリケーンが発生しやすい海域での実用化を目指しています。 - Ocean-Based Climate Solutions, Inc.
深層水を汲み上げて海洋表面温度を下げる技術の開発に取り組んでいます。この技術は、ハリケーンのエネルギー源である暖かい海水を冷やすことで、ハリケーンの発達を抑制することを目指しています。
これらの企業やプロジェクトは、低層の冷たい海水を汲み上げる技術を利用して、ハリケーンの発達を抑制するための研究と開発を行っています。
実用化には多くの課題がありますが、この技術が成功すれば、ハリケーンによる被害を軽減するための革新的な手段となる可能性があります。
7.モニターとしての普及・販売開始
8.開発協力団体
芝浦工業大学 工学部 機械学群 機械機能工学科、田中耕太郎研究室:共同研究
御宿町岩和田漁業協同組合および御宿町役場:実験水域使用おける許認可支援
国土交通省 国土技術政策総合研究所:東京湾シンポジウム出展
みなと総合研究財団:専門的アドバイス
NPOエスコット会員(佐野市役所):研究資金支援
9.研究開発
NPO法人エスコット 環境機器開発部会 担当:藤本治生
〒277-0011 千葉県柏市東上町4-17
千葉県夷隅郡御宿町上布施768-22
mobile:+81-80-4365-0861
https://www.npo-escot.org
ser.kashiwa@gmail.com