第26回東京湾シンポジウムで「波動式湧昇ポンプ」を発表
東京湾の観測から、具体的な海面冷却対策へ

【写真1:IMG_1156.jpg ポスター前の藤本】

2026年10月16日、横浜・大さん橋ホールで開催された「第26回東京湾シンポジウム」において、NPO法人エスコットは「東京湾から始める海面冷却実証―波動式湧昇ポンプの試験導入へ」をテーマに、ポスター展示とショートプレゼンテーションを行いました。
今回提案したのは、波の上下運動だけを利用して、水深約5mの比較的低温な海水を海面へ送る「波動式湧昇ポンプ」です。外部電力を必要とせず、夏季の海面高温化を緩和する具体的な技術として、千葉県御宿町・岩和田漁港で耐久試験を続けています。
【写真2:IMG_1147.jpg シンポジウム会場】

今回のシンポジウムでは、東京湾の環境計測、現状分析、将来予測など、学術的に重要な発表が数多く行われました。
その中で、ESCOTの発表は、観測や予測にとどまらず、海面高温化に対する具体的な対策技術と現場実証を提示した点について、参加者から高い評価をいただきました。
「計測や予測を扱う発表が多い中、具体的な対策にまで踏み込んだ発表は唯一ではないか」との声もあり、波動式湧昇ポンプに対する関心の高さを改めて確認できました。
【写真3:IMG_1154.jpg 会場から望む東京湾・横浜ベイブリッジ】

ポスターでは、伊勢湾湾央の2026年7月の観測データを紹介しました。
- 水深5mの海水は、水深0.1mより平均2.18℃低温
- 最大水温差は7.11℃
- 観測時間の98.1%で表層の方が高温
- 標準型ポンプの理論揚水量は約460m³/日
東京湾の海面水温を2℃低下させた条件では、大手町付近の気温が約1℃低下し、海風が約1m/s強まる可能性を示した先行研究もあります。
これらを踏まえ、ESCOTでは浅層に存在する安全に利用可能な冷水層「HCWL」を活用し、海面冷却による沿岸都市の暑熱緩和、熱中症リスクの低減、冷房電力とCO₂排出量の削減を目指しています。
同時に、養殖場の高水温・貧酸素対策、沿岸生態系の改善、漁業資源の活性化などへの応用も進めています。
【写真4:IMG_1152.jpg 横浜大さん橋と客船】

今回の発表を契機として、研究機関、自治体、港湾・漁業関係者との連携をさらに広げ、東京湾をはじめとする沿岸域での試験導入につなげていきます。
海の状態を「測る」「予測する」段階から、具体的な対策を小規模でも実行し、その効果を科学的に検証する段階へ。
波の力で海を動かし、海から気候変動対策を始める――。
ESCOTは、波動式湧昇ポンプの社会実装に向けた共同研究・実証協力先を募集しています。
NPO法人エスコット
https://www.npo-escot.org
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