東京湾の高水温対策を漁業者とともに

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― 共同実証に参加いただける漁協・漁業関係者を募集します ―
近年、東京湾では夏季の海水温上昇、成層、貧酸素水塊、青潮など、漁業を取り巻く海洋環境の変化が大きな問題となっています。
水温や溶存酸素(DO)などの観測は各地で続けられています。
しかし私たちは、そろそろ**「海の変化を観測する」ことに加えて、「漁業者が参加できる対策を実際の海で試す」段階へ進む必要があるのではないか**と考えています。
深い海水を汲み上げる実験ではありません
NPO法人エスコットでは、波の力だけで海水を汲み上げる「波動式湧昇ポンプ」の研究開発を続けています。
ただし、東京湾では深層に貧酸素水が存在する場合があるため、単純に深い海水を汲み上げることは適切ではありません。
そこで私たちは、海面より低温で、なおかつ十分なDOを持つ比較的浅い水層を確認し、そこから選択的に海水を海面近くへ運ぶ方法を検討しています。
この安全に利用できる浅層冷水を、私たちは**HCWL(Healthy/Harmless Cold Water Layer:安全に利用できる冷水層)**と呼んでいます。
目的は「海を冷やすこと」ではなく「漁場を守ること」
私たちが最初に知りたいのは、ポンプによって何℃海面を冷却できるかだけではありません。
漁業にとって本当に役に立つのか。
これを実際の漁場で確かめたいと考えています。
例えば、
・高水温時の漁場環境を改善できるか
・DOを悪化させることなく安全に利用できるか
・ノリ、貝類、魚類などへの高水温リスクを軽減できるか
・漁業者が現場で運用できる技術になるか
といったことを、水温、DO、塩分、流量などを測定しながら検証します。
漁業者の経験を研究に取り入れたい
海を毎日見ている漁業者には、観測データだけでは得られない知識があります。
「この風が吹くと潮が変わる」
「この時期に水が変わる」
「この水色になると漁場がおかしくなる」
こうした現場の経験と、研究者による観測・データ解析、そして波動式湧昇ポンプのような技術を組み合わせることが重要だと考えています。
そのため、本プロジェクトでは漁業者を単なる「実験への協力者」とは考えていません。
漁業者・研究者・技術者が一緒に東京湾の高水温対策を考える共同実証にしたいと考えています。
まず一つの漁場、数基のポンプから
最初から東京湾を大規模に冷却するような計画ではありません。
まず一つの漁場で、
現状観測 → HCWLの確認 → 数基による小規模実証 → 水温・DO・生物への影響評価
という順序で進めます。
効果と安全性が確認された場合に、次の段階を考えます。
その先には、もう一つの研究があります
東京湾は世界有数の巨大都市圏に隣接する海です。
海面水温が高くなれば、海面から大気への熱や水蒸気の供給にも影響します。
そのため漁場改善の実証と同時に、海面温度を変化させることで、蒸発、顕熱・潜熱などがどの程度変化するのかも調べたいと考えています。
これは将来、東京湾沿岸の酷暑や局地的豪雨などの気象リスク緩和につながる可能性を検証する研究へ発展する可能性があります。
ただし、現段階で「ポンプによって豪雨や酷暑を防げる」とするものではありません。
まず実際の海で測ることから始めます。
東京湾で最初の共同実証に参加いただける方を探しています
夏季の高水温に困っている漁業者・漁協の方。
東京湾の海洋環境改善に関心をお持ちの研究者・行政関係者。
水温・DO等の観測や実証研究に協力いただける企業・団体。
ぜひご意見をお聞かせください。
「ポンプを設置してください」というお願いではありません。
まず、
「あなたの漁場では今、何が一番問題になっていますか?」
というところから話を始めたいと考えています。
漁場を守る。
海を守る。
その取り組みが、都市を守る可能性を探る。
東京湾から、新しい海洋環境対策を漁業者の皆様と始めたいと考えています。
NPO法人エスコット(ESCOT)
