「海洋性プランクトン増によるCO2吸収、漁業活性化、台風制御プロジェクト」クラウド・ファンディングにプロジェクト掲載
「海洋性プランクトン増によるCO2吸収、漁業活性化、台風制御プロジェクト」
▼エスコット活動紹介
NPO法人エスコットは1997年、国際輸送の環境負荷低減を主目的に設立されました。
その後、ソフト・エネルギー研究所と合体、2002年にNPO法人化しました。
活動内容は環境・エネルギー問題に特化したノウハウ、機器、システムの開発と社会への提供です。
主な実績:
①富栄養化度日本一であった千葉県手賀沼湖面で空心菜等の野菜栽培=「湖上農法」
②アオコの光合成能力を利用しエアレーションを行う超音波装置=「アオコバスター」開発
③中空ポリカを改良したDIY対応太陽熱回収システム=「ヒートルパネル」開発
④窓ガラスを外側からDIYで複層強化できる=「防災エコ窓金具」開発
⑤国際海上コンテナ陸上輸送の往復継続利用を業界標準に=「コンテナ・ラウンド・ユース」
*空心菜を水上有機栽培=堆積した養分利用、無農薬、無肥料、連鎖障害なしでの食糧生産
*超音波でアオコ細胞内の浮袋だけを破壊=底泥上で光合成させ水中酸素濃度向上手段に。
*写真左:通常のアオコ/写真右:超音波派で細胞内の浮袋がつぶれたアオコ
*窓ガラスを外から特殊金具でDIYで複層強化=台風、突風での窓割れ防止&省エネ化
*海に面しひび割れた漁業協同組合窓の補強
*通水冷房=天井に水路をつくったパネル吊るし輻射熱回収。熱を吸収した水はトイレなどで利用。
主な受賞歴:
千葉環境文化賞受賞:湖上農法による有機で野菜生産兼水質浄化
モノ造りアイディア大賞受賞(柏市):中空窓ガードによるマドの複層強化兼断熱アップ
省エネ推進エコカンパニー大賞(柏市):ゼロ・エネルギーでの研究所運営を評価
エネルギー・グローブ賞(オーストリア):DIY型太陽熱回収システム開発・普及活動
スタンフォード大学アーカイブライブラリーへの登録:これまでの実績全般
*太陽熱回収システムで「ENERGY GLOBE AWARD受賞」
出典:オーストリア発の国際環境賞「エネルギーグローブ賞」オーストリア大使館にて
▼プロジェクトを立ち上げたきっかけ
2019年、東京近郊を大型台風15号が千葉県に上陸、甚大な被害が発生しました。
海面水温上昇が台風の発達を促し、大型化し房総半島を直撃しました。
海面水温を下げ、同時に海洋性プランクトンの増殖を促しCO2を削減する装置開発プロジェクトを開始しました。
▼プロジェクトの内容
”海面を覆う温水フタが海洋プランクトン増殖の妨げになっているによる”という説があります。
そのメカニズムは以下の通りです。
1.気温上昇に伴い海面水温が上昇
2.海水の鉛直循環が停滞
2.低層からの養分供給が減少
3.海洋性プランクトンが減少
4-1.CO2が吸収せれず温暖化が益々進行
4-2.水産資源も同時に減少
4-3. 海面水温が上昇し水蒸気発生増で台風大型化
*出典:NHK for school「海水面を覆う温水のフタが植物プランクトン減少の原因」
この悪循環を阻止するソリューションとして2次汚染を引き起こさない波力利用を考えました。
波のエネルギーで海水を汲み上げ、海面に拡散させる「波動式湧昇ポンプ」の開発・普及です。
海面を覆う温水フタ除去し、海洋プランクトンと魚介類の増加によるCO2を削減効果が期待できます。
また、夏から秋にかけての海面水温冷却により台風大型化の原因となる水蒸気発生を抑制します。
*波動式湧昇ポンプの仕組み:浮が上下するだけで逆止弁の作用で低層の水を効率的に上層に汲み上げる。
(出典:以下画像は共同研究を行った芝浦工業大学、工学部機械機能工学科 田中耕太郎研究室の許可を得て掲載しています。)
*現在、全長6mの実証装置まで完成しており、ホタテ貝の養殖場に試験的導入しデータを集めています。
推定100~300m3/日(波の周期と大きさによる)の低層水をゼロ・エネで汲み上げます。
夏場の水深2~3mの水温は海面より1~2℃低い事がこれまでの調査で分かってきました。
この低温海水を海面に拡散出来れば海面水温を下げられます。
仮に海面水温が1℃下がれば水蒸気発生量を7%低減でき台風、豪雨規模を制御できます。
*水深3mから冷水湧昇、中央の丸いブイ下の湧昇ポンプから波力で低層冷水が汲みあがっている。
*2.5メートルの水深差でも最大約4℃の温度差がありました。
*2023.8.9台風6号が吸収に接近したときの海面水温です。ピンク色は水蒸気を大量供給している水温30℃の海域です。
出典:気象庁ホームページより
一方、海中の養分はその比重により海底に沈降します。
海水を汲み上げ、海面に拡散すると海洋肥沃化(≒海底耕耘)効果により海洋性プランクトンの増加と水産資源の活性化をもたらします。
波動式湧昇ポンプについて:
波動式湧昇ポンプを構成する送水管には排水管(VU100から200)を使用し、部品の汎用性、標準化が図られました。
これにより日本各地の漁業関係者自ら製造、使用、そして販売できます。
※悪天候で漁に出られない日はポンプ製造で収入を得ることが出来ます。
*小さな波でも開閉し揚水する逆止弁の試作品小さな波でも確実に水を汲み上げ、
台風の大波でも壊れず、更に一日に数万回の開閉に数年間耐えられるヒンジを使った逆止弁が必要に。
*波動式湧昇ポンプの構造と海水汲み上げ原理は?
水面に浮かぶブイ(浮体)とその下に吊るした逆止弁付きパイプより構成されます。
1.ブイ上昇時は弁が閉じてパイプ管内の水を引き上げる。
2.ブイ下降時は逆止弁が開き内部の水を表層に拡散する。
3.ブイの上昇速度が大きい場合、パイプ内の水は上方向の運動エネルギーが与えられ上部の弁を押し開けて排出されます。
4.海面に汲み上げられた低温水は弁とブイの構造により風下方向に攪拌されます。
(出典:以下画像は共同研究を行った芝浦工業大学、工学部機械機能工学科 田中耕太郎研究室の許可を得て掲載しています。)
*写真左:海中での湧昇状況/写真右:上下動による粒状体の湧昇状況(出典:芝浦工業大学)
(出典:以下画像は共同研究を行った芝浦工業大学、工学部機械機能工学科 田中耕太郎研究室の許可を得て掲載しています。)
*海外事例:ハワイ大学、オレゴン大学がハワイ沖で行った波動式湧昇ポンプ実証実験 冷水汲み上げとプランクトン増は確認。
外洋では全体の強度設計不足で1週間ほどで破損。
出典:オレゴン大学、ハワイ大学「波浪ポンプ技術を用いたアップウェリング制御の外洋実験」
実際使われた逆止弁構造、強度課題があり、小さな波での揚水が難しいと思われる。
▼プロジェクトの展望・ビジョン
湧昇と湧昇海域について:
” 世界の漁場は,海洋総面積の約 0.1%の湧昇海域に集中しています。
なんとこの海域での漁獲高は 世界全体の50%を占めると言われています。
ペルー沖,カリフォルニア沖,南西アフリカ沖などが湧昇流発生海域として知られています。
この様な海域では栄養豊富な低層水が海流、風の力で表層に上昇し、日光に当たり植物プランクトンの光合成が活性化されます。
その結果、小魚を基盤とする魚類二次生産が行われ良好な漁場になっています。”
※湧昇海域:潮流、海底地形等の影響、低層の海水が表層に押し上げられる海域の事。
出典情報:ウキペディア 「湧昇または湧昇流」
過去、日本でも人工的に湧昇海域を作る国主導の大規模な実験が行われました。
しかし、現在は殆ど行われていません。
気象災害が今ほど激甚化していなかったのとコストとメンテナンスがネックになっていたものと思われます。
*神奈川県相模湾での湧昇実験「海洋肥沃化計画、拓海」
深層の養分を機械式ポンプでくみ上げ漁場を作る実証実験。
出典:株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド開発部「波浪ポンプ技術を用いたアップウェリング制御の外洋実験」
日本の陸地面積は38万平方キロメートルで世界第61位です。
しかし、海洋面積はその12倍の465万平方キロメートルでカナダに次ぐ世界第6位です。
陸地の小さい海洋国家の食糧自給率向上を目指す場合、海洋の有効活用が必要となります。
湧昇海域を資源・エネルギー、コストを抑えた方法で日本近海に増やすことが出来れあ食糧問題解決に繋がります。
また人工湧昇海域を陸から遠くない沿岸域につくれば漁船の燃料代やリスク、労働負荷は低減します。
最近、海面水温冷却手段には台風、豪雨等の気象リスク低減手段として注目され始めました。
*「タイフーン・ショット計画」台風の周辺海域を冷やす。横浜国立大学を中心とするプロジェクトチーム
出典:NHKおはようにっぽんウェブ記事
本プロジェクトの第1ステップは波力だけで駆動する実用レベルの<波動式湧昇ポンプ>の開発です。
条件:
1.外洋での利用に耐える強度、耐久性、生物着生対策
2.製造・使用時のコスト、メンテンナンス
3.海洋プランクトン増と漁業的価値
*現在、生態系(海藻、貝等)の過剰付着防止機能の開発とスライド式湧昇管の改良等を行っています
*課題の幾つかは4年間の研究である程度明らかになってきました。
第2ステップでは多様な海域での機能と効果確認です。ノリ、アサリ、カキ、その他、養殖対象とその海域にあった改良が必要となります。
この為の現地の漁業関係者への密な情報交換が必要となります。
第3ステップは漁業関係者みずからが作り、使い漁業の持続性を維持することです。
波動式湧昇ポンプ開発プロジェクトの基本方針:
①海水の上下攪拌=夏は海面冷却による台風/豪雨制御/低層の酸欠状況改善
②ゼロ・エネルギー=2次汚染発生防止
③台風の無いときでも役に立つ=多面的価値
④予算が無くなった後も残れる=漁礁、生態系機能
⑤低価格での生産=大量敷設可能=台風の通路/魚介類養殖施設/大量のメタン発生海域(汚泥蓄積くぼ地)
*ホタテ養殖場では逆止弁以外は漁業関係者がDIY作成、
導入基本部材は逆止弁を除くと浮、排水管、ロープだけで全国どこでも購入可能
*波動式湧昇ポンプ全体画像=これをブイに下げると海水汲み上げ開始
プロジェクト実施後のビジョンとしてCO2吸収と漁獲高アップ、海面水温上昇抑制と気象災害激甚化防止につながるものと考えています。
クラウドファンディングでこの為の活動費が捻出できれば新たな事業展開への可能性が開かれます。
同時にプロジェクトに賛同してくれる人がいる事は前例のない海洋チャレンジを続けるパワーと勇気を与えてくれます。
海面水温に関する最新情報:こちら
NPOエスコットHP:https://npo-escot.org
※出典なしで掲載している画像は自ら撮影、作成したものです。
PDFによる画像入り資料 こちら
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