輸入時の「ワンウェー捨てパレ」を輸出に再利用



廃棄費用と新規パレットの製造を減らし、木材中の炭素を長く保つ
輸入貨物と一緒に海外から持ち込まれる木製パレットは、原産国の規格やサイズに合わせて作られていることが多く、国内で一般的なT11(1,100×1,100mm)と寸法が合わないなどの理由で、国内物流では再利用しにくい場合があります。
そのため、貨物を降ろした後に残るパレットが「ワンウェー捨てパレ」として廃棄処理されることがあります。廃棄物として処理され、焼却される場合には、処理費用がかかるうえ、木材に含まれる炭素がCO₂として大気に戻ります。
そこで考えたいのが、輸入貨物を降ろした後のパレットを、輸出貨物用に再利用する方法です。寸法や強度、パレットの状態、輸出先の要件を確認して適合すれば、廃棄予定のパレットを次の輸送に活用できる可能性があります。
輸出用パレットとして再利用する効果
- 輸入後すぐに廃棄するパレットを減らす
- 輸出用に新たに購入する木製パレットの製造を減らす
- パレットの調達費用と廃棄処理費用を抑える
- 木材をパレットとして使い続け、木材中の炭素を製品内に保つ
再利用は、木材に炭素を新たに固定することではありません。焼却などによるCO₂の放出を先送りし、パレットとして使っている期間、木材中の炭素を保つ取り組みです。
CO₂削減効果の目安
木製パレットのLCA研究では、チリで製造された1,200×1,000mmの木製パレットについて、製造段階の排出量が平均約4.12kg-CO₂e/枚と報告されています。算出方法による幅は約3.16~5.63kg-CO₂e/枚です。パレットの仕様や製造条件によって排出量は異なります。
この値を参考に、再利用したパレットが新品パレット1枚の製造を代替したと仮定すると、製造段階の排出回避は1枚あたり約4.1kg-CO₂eとなります。
また、仮にパレットの自重を10kg、含水率を20%、木材の炭素割合を乾燥重量の約50%とすると、パレットに含まれる炭素はCO₂換算で約14~15kgに相当します。焼却せずに再利用している間は、この炭素がパレット内に保たれます。ただし、これはCO₂排出を永久に回避したという意味ではなく、使用期間中、炭素の放出を遅らせる効果として考える必要があります。
製造時の排出回避量と、木材中に保たれる炭素量は異なる指標です。評価範囲や廃棄後の扱いをそろえずに単純合算すると二重計上につながるおそれがあるため、ここでは分けて示します。
輸入パレット数とリユースの参考試算
貿易統計でHS441520(木製パレット、ボックスパレットその他の積載用ボード等)として申告された日本の輸入数量は、2024年に約43万8千個でした。ただし、これはパレット等の品目として計上された数量です。輸入貨物の梱包材として付属して入ってくるパレットすべてを数えたものではなく、国内に入る木製パレット全体の数は、この統計だけでは把握できません。
参考として、この約43万8千個の一定割合をもう1回使用し、新品パレットの製造を代替できた場合を試算しました。
| リユース割合(仮定) | もう1回使うパレット数 | 製造段階の排出回避目安 |
|---|---|---|
| 10% | 約4.4万個 | 約181t-CO₂e |
| 25% | 約11.0万個 | 約451t-CO₂e |
| 50% | 約21.9万個 | 約903t-CO₂e |
| 100% | 約43.8万個 | 約1,805t-CO₂e |
これは統計上の輸入数量を使った単純な試算です。すべてのパレットが再利用できるわけではありません。また、研究対象のパレットと輸入品のサイズ・材質・重量が同じとは限らず、回収・輸送・補修などに伴う排出も含んでいません。実際の削減量ではなく、規模感を示す参考値です。
購入費と廃棄費の削減可能性
費用の参考として、新品の1,200×1,000mm木製パレットを1枚約2,170円(税別)、廃棄・収集運搬費を1枚あたり約1,000~3,000円と置きます。
既に保有しているパレットをもう1回使い、新品1枚の購入と廃棄1回を回避できる場合、削減可能額は概算で1枚あたり約3,170~5,170円です。
| リユース割合(仮定) | もう1回使うパレット数 | 購入費・廃棄費の削減可能額 |
|---|---|---|
| 10% | 約4.4万個 | 約1.39~2.27億円 |
| 25% | 約11.0万個 | 約3.47~5.66億円 |
| 50% | 約21.9万個 | 約6.94~11.33億円 |
| 100% | 約43.8万個 | 約13.89~22.65億円 |
この金額は、新品購入と廃棄をそれぞれ1回ずつ避けられると仮定した粗い試算です。回収、選別、補修、保管、再配送などの費用を差し引いた実際の削減額ではありません。価格や処分費は事業者や条件によって異なり、輸送距離や回収方法によっては費用削減が小さくなる場合もあります。
なお、UPALLET株式会社のキャンペーンでは、1,200×1,000mmの中古木製パレットが1枚570円(税別)で掲載されています。別事業者の新品同サイズ品の参考価格2,170円(税別)と比べると、購入価格だけで約1,600円の差があります。送料、数量、在庫、状態などは個別にご確認ください。
会員間で供給先と利用先をつなぎます
エスコット会員には、運送・ドレージ、通関、梱包、倉庫、コンテナ、港湾機器など、物流に関わる多様な事業者が参加しています。会員のUPALLET株式会社・永島様からは、中古パレットの販売情報と、米国向け輸出、とくに冷凍水産物関連での新規開拓についてご相談をいただいています。
キャンペーン情報:
UPALLET株式会社・木製パレット販売情報
次のような情報をお持ちの会員は、ぜひエスコットまでお知らせください。
- 輸入後に余っているパレットのサイズ、数量、保管場所
- 輸出貨物用のパレットを探している案件
- パレットの回収、選別、補修、保管、輸送に協力できる会員
- 輸出先や貨物条件に合うパレット仕様についての知見
- 再利用の実証や共同事業に関心のある企業
輸出用に適したパレットを廃棄前に次の輸送へ回せるか、会員同士の情報交換から具体的な再利用の仕組みを検討していきたいと考えています。米国向けを含む輸出に使用する場合は、仕向地のサイズ指定やISPM 15の処理・表示要件もご確認ください。
出典・参考情報
- UN Comtrade/World Bank WITS「Japan imports of HS 441520, 2024」
https://wits.worldbank.org/trade/comtrade/en/country/JPN/year/2024/tradeflow/Imports/partner/ALL/product/441520 - Vásquez et al. (2022), “Carbon footprint of wooden and plastic pallets: A quantification with different software tools”
https://doi.org/10.4067/S0718-221X2022000100445 - UPALLET株式会社・中古木製パレット販売情報
https://u-pallet.com/pallets/wooden-pallets/ - 新品木製パレット価格例
https://www.pallet-urikai.com/newitem_summary/ - 木製パレット廃棄費用の目安
https://kansei.co.jp/pages/78/detail=1/b_id=601/r_id=405
