Container Logistics AIによる社会課題と温暖化対策

海上コンテナは「荷物を運んだ後」にも走っています

輸入貨物を積んだ海上コンテナは、港から工場や倉庫へ運ばれ、貨物を取り出した後は空コンテナになります。

通常、この空コンテナは船会社が指定する港湾地区のCY(コンテナヤード)などへ返却されます。

一方、同じ地域に輸出企業があれば、その企業は輸出用の空コンテナを港から引き取って工場や倉庫まで運び、貨物を積んで再び港へ運んでいる場合があります。

つまり地域によっては、

輸入企業から港へ戻る空コンテナ

港から輸出企業へ向かう空コンテナ

が、逆方向に走っている可能性があります。

この空コンテナの移動を減らすことができれば、トラックの走行距離、燃料消費、CO₂排出量、ドライバーの拘束時間などを削減できる可能性があります。

輸入と輸出をつなぐ「Container Round Use」

輸入後に発生した空コンテナを港へ返却せず、周辺の輸出企業へ回し、輸出貨物を積載して港へ運ぶ方法がContainer Round Use(CRU:コンテナラウンドユース)です。

たとえば、

東京港 → A社:輸入貨物を輸送
A社:デバン後に空コンテナ発生
A社周辺 → B社:空コンテナを短距離移動
B社:輸出貨物をバンニング
B社 → 東京港:実入りコンテナとして輸送

という流れです。

従来必要だった「A社→東京港」の空コン返却と、「東京港→B社」の空コン引取を減らせる可能性があります。

しかし、輸入企業と輸出企業を見つけるだけではCRUになりません

CRUを成立させるには、単に「近くに輸入企業と輸出企業がある」というだけでは不十分です。

確認すべき条件には、

  • コンテナサイズ(20ft/40ft)
  • Dry/Reeferなどのコンテナ種類
  • 利用する港
  • 船会社
  • 返却CY
  • 輸入側のデバン地点
  • 輸出側のバンニング地点
  • 空コンテナが発生する時期
  • 輸出に空コンテナが必要となる時期
  • 本数・頻度
  • 空コンテナを一時保管できるか
  • 船会社によるCRU承認

などがあります。

さらに、企業の本社所在地が近くても、実際にコンテナを扱っている工場や物流センターが離れている場合があります。

そのため、所在地だけを検索してCRU候補を探す方法には限界があります。

そこで「Container Logistics AI」を開発しています

NPO法人エスコットでは、こうした物流条件を整理し、輸入後に発生する空コンテナと周辺の輸出需要を結び付ける可能性を探すため、**Container Logistics AI(CLAI)**の開発を進めています。

CLAIの目的は、単なる「物流会社検索」ではありません。

目指しているのは、

輸入後の空コンテナ × 周辺の輸出需要

または、

輸出需要 × 周辺の輸入後空コンテナ

を探索し、空コンテナ回送の削減につながる組み合わせを発見することです。

例えば、このような質問から候補を探します

「栃木県佐野市から40ftで輸出しています。周辺の輸入後空コンと組み合わせられませんか?」

「千葉県柏市で40ftを月10本輸入しています。輸入後の空コンを近くの輸出に使えませんか?」

「宮城県石巻市で輸入後の空コンを東京港まで返却しています。CRUにした場合、どの程度CO₂を削減できますか?」

こうした条件を起点として、登録されたGX・CRU案件、輸出入企業、物流会社、インランドデポなどの情報を比較し、確認する価値のある候補を絞り込みます。

「できる」と判定するAIではなく、「確認する価値のある組み合わせ」を発見するAI

Container Logistics AIでは、候補企業が近くにあるという理由だけで、

「CRUできます」

とは判断しません。

公開情報で輸出入実績が確認できても、海上コンテナを利用しているとは限らないからです。

また、40ftを利用しているか、船会社が一致するか、空コン発生日と輸出予定日が合うかなど、公開情報だけでは確認できない物流条件も数多くあります。

そこでCLAIでは情報を、

確認できた事実

GX・CRU候補としての判断

成立前に確認すべき条件

に分けて提示します。

AIがCRU成立を決定するのではなく、これまで見つけにくかった組み合わせを発見し、物流会社・荷主・船会社などが具体的な検討を始めるための入口を作ることを目的としています。

全国の物流情報を組み合わせる

Container Logistics AIでは、エスコットが蓄積してきた物流情報に加え、物流会社から提供された対応情報、GX・CRU案件、公開情報から確認した輸出入企業などを整理しています。

特に重視するのは企業の本社住所ではなく、

工場・倉庫・物流センター・デバン地点・バンニング地点

といった実際に物流が発生する場所です。

例えば、ある地域で40ft輸入コンテナが月10本発生している場合、その周辺で40ft輸出需要がある企業を探します。

反対に、輸出企業から「40ftコンテナが必要」という情報があれば、周辺で40ftの輸入後空コンテナが発生していないかを探します。

CRUによるCO₂削減効果も検討します

Container Logistics AIでは、候補となる組み合わせについて、CRU前後の空コンテナ輸送距離を比較することで、CO₂削減効果を試算することも目指しています。

例えば、

CRU前

輸入企業 → 港:空コン返却
港 → 輸出企業:空コン引取

から、

CRU後

輸入企業 → 輸出企業:空コン移動

へ変更できれば、その差が空コンテナ輸送距離の削減になります。

削減距離と対象本数、車両燃費、排出係数などを使い、

1本当たり
月間
年間

といった単位でCO₂削減量を試算できます。

実際の削減量はデバン・バンニング地点、港、CY、車両条件などによって異なるため、条件が不足している場合は概算として提示します。

CRUだけが解決方法ではありません

地域によっては輸入と輸出のバランスが取れず、CRUだけでは空コンテナ問題を解決できない場合もあります。

その場合には、

  • インランドデポの活用
  • 空コンテナ保管
  • 複数荷主間での空コンテナ融通
  • 港湾と内陸物流拠点の連携
  • 中継輸送
  • 国内貨物輸送との組み合わせ

など、別の物流改善策を検討する必要があります。

Container Logistics AIでは、CRUの成立だけを目的とするのではなく、空コンテナの不要な移動そのものを減らすGX物流という視点から改善策を探索していきます。

物流情報が増えるほど、見つけられる組み合わせも増えます

この取り組みで重要なのは、AIそのものだけではありません。

「この地域で輸入後の40ft空コンテナが月10本発生する」

「この工場では毎週40ft輸出コンテナが必要になる」

「この物流会社では空コンテナを一時保管できる」

といった、実際の物流情報です。

こうした情報が蓄積されることで、これまで別々に存在していた輸入と輸出を地域横断で比較できるようになります。

一社だけでは改善できなかった空コンテナ回送を、荷主、物流会社、船会社、港湾、自治体などの連携によって改善できる可能性があります。

AIを使って、まだ見えていない物流の組み合わせを探す

物流GXでは、トラックや燃料を変えることだけでなく、そもそも不要な輸送を発生させないことも重要です。

輸入後に港へ戻っている空コンテナ。

輸出のために港から内陸へ運ばれている空コンテナ。

その二つを結び付けられる可能性が、全国各地にまだ残されていると考えています。

Container Logistics AIは、物流会社を検索するだけのAIではなく、

「この空コンテナを、近くの誰かが必要としていないか」

を探すためのAIです。

NPO法人エスコットでは、物流事業者、輸出入企業、自治体、港湾関係者などの皆様と情報を共有しながら、空コンテナ回送削減とCO₂削減につながる仕組みを構築していきます。

Container Logistics AIを利用する

Container Logistics AIの機能、利用方法、現在の取り組みについては、専用の固定ページをご覧ください。

Container Logistics AI 固定ページへ

物流・GX情報をお寄せください

「輸入後に空コンテナが発生している」

「輸出用の空コンテナを探している」

「空コンテナ保管やCRUに対応できる」

「地域の輸出入物流を効率化したい」

といった情報をお持ちの企業・団体の皆様からの情報提供も募集しています。

Container Logistics AIは、実際の物流情報を蓄積しながら、参加者とともに精度を高めていくことを目指しています。

Container Logistics AI 情報登録・フィードバックへ

⇒ CLAI(container logistics AI) 

 

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