太陽熱直接利用・浴槽蓄熱システム実証プロジェクト


太陽熱を、そのまま暮らしの熱へ

世界では伸びる太陽熱、日本では縮小

太陽熱は過去の技術ではありません。

国際エネルギー機関(IEA)は、建物で利用される太陽熱が、2023年から2028年までに世界全体で約40%増加すると予測しています。給湯や暖房の脱炭素化において、太陽熱は今後も重要な役割を担うと考えられています。

IEA「Renewables 2023―Heat」

ところが日本では、太陽熱を利用する住宅が減少しています。

ソーラーシステム振興協会のデータブックによると、「太陽熱を利用した温水機器等」がある住宅は、2003年の約309万戸から、2023年には約169万戸まで減少しました。住宅全体に占める普及率も、6.59%から3.04%へ低下しています。

ソーラーシステム振興協会「2025ソーラーシステム・データブック」

かつての強引な訪問販売の印象、屋根上に重いタンクを載せる旧式設備のイメージ、施工業者の減少、太陽光発電への政策集中などが、普及停滞の背景にあると考えられます。

しかし、現在の太陽熱システムには、集熱器と貯湯タンクを分離した方式や、循環ポンプと温度制御を利用する方式もあります。昔の太陽熱温水器だけを見て、技術全体を評価すべきではありません。

日曜討論で語られなかった「太陽熱温水器」という気候変動対策

2026年7月26日のNHK「日曜討論」では、「徹底解説!暑さはどこまで?対策は」をテーマに、40℃を超える酷暑の原因や、健康、暮らし、働き方への影響について専門家が議論しました。

熱中症対策、冷房の適切な使用、働き方の見直しなど、すでに起きている暑さから命と暮らしを守る「適応策」は、今すぐ必要です。

一方で、番組を見ながら気になったことがあります。

それは、暑さをもたらしている気候変動の原因を減らす「緩和策」、特に太陽熱の直接利用について、ほとんど触れられなかったことです。

番組が主に「暑さへの適応」を扱ったためだとは思いますが、これからは暑さに耐える対策だけでなく、化石燃料の使用を減らし、これ以上の気温上昇を抑える対策も同時に進めなければなりません。

再生可能エネルギーは「電気」だけではない

日本で再生可能エネルギーといえば、多くの人が太陽光発電や風力発電を思い浮かべます。

しかし、私たちが家庭や事業所で必要としているエネルギーは電気だけではありません。

給湯、暖房、調理、乾燥、洗浄などには大量の「熱」が使われています。その多くは、ガス、灯油、電気などを使ってつくられています。

太陽熱温水器は、太陽のエネルギーをいったん電気に変換するのではなく、熱として直接回収し、水を温める設備です。

資源エネルギー庁も、太陽熱利用システムを正式に再生可能エネルギーの一つと位置づけています。

資源エネルギー庁「太陽熱利用システム」

お湯が必要なら、太陽の熱をそのまま使う

太陽光発電と太陽熱利用は、どちらか一方を選ぶものではありません。

電気が必要な場所では太陽光発電が有効です。一方、お湯や低温の熱が必要な場所では、太陽熱を直接利用する方法が合理的です。

太陽光発電の場合は、

太陽光→電気→給湯器→お湯

という過程をたどります。

太陽熱温水器の場合は、

太陽熱→お湯

という、より直接的な仕組みです。

もちろん、発電と集熱では得られるエネルギーの種類が違うため、単純な効率比較はできません。それでも、最終的に必要なものがお湯であれば、太陽熱を直接回収する価値は十分にあります。

矢崎グループも、太陽熱は太陽光発電と比較してエネルギー変換効率が高く、比較的小さな設置面積でも利用できると説明しています。

矢崎グループ「太陽熱の知識」

太陽熱温水器は気候変動対策になる

太陽熱温水器を設置しても、それだけで地球の気温を直接下げられるわけではありません。回収して利用した熱も、最終的には環境中へ戻ります。

太陽熱利用の本当の価値は、太陽熱でつくったお湯を使うことで、ガス、灯油、電気の使用量を減らせることです。

つまり、

化石燃料を使わずに給湯する

CO₂排出量を減らす

将来の気温上昇を抑える

という気候変動の「緩和策」です。

東京都環境局の試算では、太陽熱利用によって、一般家庭1世帯当たり年間約2万5,000~2万9,000円の光熱費と、年間約0.4~0.6トンのCO₂を削減できる可能性が示されています。実際の効果は、設置場所、日射量、給湯使用量、代替する燃料などによって異なります。

東京都環境局「太陽熱で地球にやさしい暮らしを」

太陽光発電やヒートポンプとの組合せも考える

太陽熱温水器は、すべての給湯を単独で賄う必要はありません。

日射がある時間帯に太陽熱で水を予熱し、温度が不足する場合だけ、エコキュート、ガス給湯器、灯油ボイラーなどで補う方法があります。

例えば、

  • 太陽熱で水温を15℃から40℃まで上げる
  • 必要な場合だけ給湯器で40℃から適温まで加熱する

という使い方でも、給湯器が負担するエネルギーを大きく減らせます。

重要なのは、「太陽光か太陽熱か」「ヒートポンプか太陽熱か」という二者択一ではありません。

太陽光発電で電気をつくる
太陽熱でお湯をつくる
不足分をヒートポンプや既存の給湯器で補う

という役割分担を考えるべきです。

湿度の高い日本の夏こそ、太陽熱を使う意味がある

湿度の高い日本では、夏場もシャワーや入浴が欠かせません。発汗量が増える猛暑期には、給湯需要がなくなるわけではありません。

しかも夏は、太陽熱を最も豊富に回収できる季節です。それにもかかわらず、現在も多くの家庭では、ガス、灯油、電気などを使ってお湯をつくっています。

化石燃料由来のエネルギーを消費すればCO₂が排出され、給湯設備や発電設備などからは熱が環境中へ放出されます。この排熱が地球温暖化を直接進める影響は、温室効果ガスによる影響よりはるかに小さいものですが、太陽熱が十分に得られる時期に、別のエネルギーを使って新たに熱をつくることが合理的なのか、改めて考える必要があります。

夏の入浴用のお湯こそ、太陽熱で供給しやすい用途です。

エスコットの基本的な設計理念と実践

NPO法人エスコットが太陽熱回収システムの開発で重視しているのは、単に高性能な機器をつくることではありません。

私たちが目指しているのは、次のような太陽熱利用です。

  • 太陽の熱を、電気に変換せず熱のまま利用する=エネルギー変換ロス削除
  • 高価で複雑な専用設備をできるだけ使わない=太陽電池駆動式高温ポンプ採用
  • 屋根だけでなく、壁面、庭先、カーポートなどにも設置できる=軽量化
  • 商用電源がなくても運転できる=災害時でも利用可能
  • 部品を交換しながら長期間使い続けられる=脱マイコン制御
  • DIYによる製作、設置、修理を可能にする=信頼できる中国メーカー製完成パネルも検討
  • 既存の浴槽や給湯器を活用する=バスマットの様な高断熱な上蓋利用

気候変動対策は、必ずしも大規模で高価な設備だけで行うものではありません。身近な材料と少ない電力で太陽熱を回収し、各家庭や事業所が自ら使える仕組みにすることが、エスコットの基本的な設計理念です。

現在の浴槽加温型システム

エスコットの浴槽加温型・太陽熱回収システム

図1 現在エスコットが実施している浴槽加温型・太陽熱回収システムの基本構成

現在のシステムは、主に次の機器で構成されています。

構成機器役割
ヒートルパネル2枚太陽熱を吸収し、内部を流れる循環水へ熱を移す
小型太陽電池循環ポンプを動かすための電力を供給する
太陽光駆動式耐熱ポンプ集熱器と熱交換器の間で循環水を動かす
循環水用タンク循環水の調整とエア抜きを行う
配管・逆流防止部品温められた循環水を浴槽側へ運ぶ
投げ込み式ステンレス熱交換器循環水の熱を浴槽のお湯へ伝える
高断熱浴槽温めたお湯を蓄え、貯湯槽の役割を兼ねる
既存の給湯器太陽熱だけでは温度が不足する場合に補助加熱する

図の構成例では、ヒートルパネル2枚の合計受光面積は約3.28平方メートルです。ポンプは約10~15ワット級で、駆動用の小型太陽電池は約12ワットです。

浴槽の水を集熱器へ直接流さない

現在の方式では、浴槽の水をヒートルパネルへ直接循環させるのではなく、独立した循環水をパネルとステンレス熱交換器の間で循環させます。

太陽熱を受けたヒートルパネルで循環水が温まり、その温水が浴槽内のステンレス熱交換器を通過するときに、浴槽のお湯へ熱を移します。

太陽熱

ヒートルパネル

温められた循環水

ステンレス熱交換器

浴槽のお湯

この方式には、浴槽の水と集熱器側の循環水を分離できる利点があります。パネル内部や屋外配管の水を、入浴用水と直接混合する必要がありません。

高断熱浴槽を貯湯槽として活用する

一般的な太陽熱給湯システムでは、大型の専用貯湯タンクが必要です。しかし、入浴用に用途を限定すれば、現在の高断熱浴槽を一時的な蓄熱槽として活用できます。

日中に太陽熱を回収して浴槽のお湯へ蓄え、夕方から夜に入浴するという使い方です。

これにより、

  • 大型貯湯タンクの購入費用
  • タンクの設置スペース
  • 屋根に載せる重量
  • 複雑な配管工事
  • タンクの維持管理

を減らせる可能性があります。

太陽熱だけで必要温度まで上がらなかった場合は、既存の給湯器や追いだき機能で不足分だけを補います。すべてを太陽熱だけで賄うのではなく、太陽熱で可能な限り予熱し、化石燃料や電気の使用量を減らす考え方です。

中空構造を利用した軽量ヒートルパネル

ヒートルパネルの集熱原理

図2 太陽光を受けたパネル内を循環水が流れ、熱を回収する基本原理

ヒートルパネルは、中空ポリカーボネート板などの内部に設けられた多数の細い流路へ水を通し、太陽熱を回収する仕組みです。

一般的な金属製集熱器と比べて薄く、軽量化しやすいことが特徴です。屋根の上に重量のある貯湯タンクを載せる必要がなく、条件が合えば、壁面、庭先、ベランダ、カーポート、農業施設などにも設置できます。

庭先に設置したヒートルパネル
このパネルだけメーカー制を導入するプロジェクトを推進中

図3 屋根ではなく、日当たりのよい庭先に設置したヒートルパネルの例

太陽光に合わせてポンプが動く

エスコットでは、小型太陽電池と直流耐熱ポンプを直接組み合わせています。

太陽が昇って日射が強くなると、小型太陽電池の発電量が増えてポンプが動き始めます。日射が強くなるほど循環量が増え、日射が弱くなると循環量も低下し、日没後には停止します。

そのため、

太陽熱を回収できる時間帯に、太陽光で循環ポンプを動かす

という自然な連動が可能になります。

商用電源、タイマー、インバーターなどを使用しないため、停電時でも日射があれば運転できます。高価な制御装置を使わず、システム全体を単純化できることも大きな特徴です。

ただし、早朝や夕方など、パネル温度が浴槽より低い状態で循環すると、浴槽の熱を屋外へ逃がす可能性があります。実際の設備では、逆流防止、温度差制御、凍結防止、配管保温、空運転防止などを設置条件に応じて検討します。

熱と電気を同じ面積から回収するPVT型

エスコットでは、ヒートルパネルの表面に太陽電池を組み合わせ、発電と熱回収を同時に行うPVT(Photovoltaic-Thermal)型の研究も進めています。

エスコット製PVTヒートルパネル表面

図4 太陽電池を表面に取り付けたPVT型ヒートルパネル

エスコット製PVTヒートルパネル裏面

図5 PVT型ヒートルパネル裏面。内部の流路を通して熱を回収する

試作機の大きさは約1,820×910×6ミリ、重量は約5キログラムです。太陽電池による発電と、パネル内部の循環水による熱回収を、同じ受光面で行うことを目指しています。

太陽光発電パネルは温度が上がりすぎると発電効率が低下します。背面から熱を回収すれば、温水を得ながら太陽電池の温度上昇も抑えられる可能性があります。

一方、浴槽加温だけを目的とする場合は、熱回収専用のヒートルパネルと、ポンプを動かす小型太陽電池を別々に設置する方が単純で低コストになることもあります。用途に応じて構成を選ぶことが大切です。

「最高性能」より「使い続けられること」

エスコットの設計で最も重視しているのは、カタログ上の最高性能を競うことではありません。

  • 入手できる部品で構成できる
  • 故障箇所を利用者が確認できる
  • 一部の部品だけを交換できる
  • 設置場所に合わせてパネル数を増減できる
  • 既存の浴槽や給湯器をそのまま利用できる
  • 停電時にも太陽が出れば運転できる

こうした「自分で理解し、直しながら使い続けられること」を基本としています。

ヒートルパネルは、2016年に国際環境賞「エネルギー・グローブ賞」を受賞しました。しかし、受賞することと、社会へ広く普及することは別の課題です。

エスコット「太陽熱回収システム」

今後はDIY型ヒートルパネルの改良を続けるとともに、国内外のメーカーが製造する耐久性の高い平板型コレクターも活用し、一般の家庭や施設が導入しやすい標準構成を検討します。

太陽熱利用を一部の専門家だけの技術にせず、各家庭や地域が自分たちで導入し、維持し、改良できる技術にすること。それが、エスコットが目指している太陽熱利用の姿です。

浴槽そのものを「蓄熱槽」として利用する

一昔前の浴槽と比べ、現在の浴槽は断熱性能が大きく向上しています。高断熱浴槽と断熱ふたを利用すれば、一度温めたお湯の温度を比較的長時間保てます。

この特徴を生かし、独立した大型貯湯タンクを設置する代わりに、日中に太陽熱で温めた水を浴槽へ送り、浴槽そのものを当日の入浴用の蓄熱槽として使う方法も考えられます。

NPO法人エスコットでは、実際にこの方法で太陽熱を回収・利用しています。

飲用や炊事用の給湯とは分け、当日中に使用する入浴用水として扱えば、システムを単純化できます。大型の貯湯タンクが不要になれば、設備費、設置スペース、配管、保守管理などの負担も軽減できます。

集熱器は屋根の上だけに設置するものではない

従来の太陽熱温水器は、集熱器と水を入れた貯湯タンクを一体化し、屋根の上に設置する方式が一般的でした。そのため、「重い」「屋根への負担が大きい」「設置工事が難しい」という印象が残っています。

しかし、集熱器を軽量化し、屋根上の貯湯タンクを不要にできれば、設置場所の選択肢は大きく広がります。

例えば、次のような場所が考えられます。

  • 日当たりのよい建物の壁面や外壁
  • 庭先に設けた簡易架台
  • ベランダやテラス
  • カーポートや物置の屋根
  • フェンスや塀に沿った場所
  • 農業施設、工場、倉庫などの空きスペース

すべての住宅で南向き屋根が使えるわけではありません。軽量な集熱器を建物や敷地の条件に合わせて配置できれば、太陽熱利用の対象を広げられます。

設置に際しては、日射条件、風圧、積雪、転倒防止、配管距離などを確認する必要がありますが、「太陽熱温水器は屋根の上に載せるもの」という固定観念から離れることが重要です。

約10ワットで動く太陽光駆動ポンプ

エスコットの太陽熱回収システムでは、米国US Solar Pumps社の耐熱循環ポンプを使用しています。同社のS5型ポンプは、10ワット程度の小型太陽電池パネルと直接接続して使用できます。

US Solar Pumps「S5 Solar Pump」

小型太陽電池とポンプを直接接続すると、太陽が昇って太陽電池の出力が上がればポンプが動き始め、日射が弱くなると流量が低下し、日没後には停止します。

つまり、集熱できる日射量とポンプの運転が、おおむね自然に連動します。

日射が強い

太陽電池の発電量が増える

ポンプの循環量が増える

集熱器から浴槽へ多くの熱を運ぶ

という仕組みです。

エスコットでもこの方式を実施しており、商用電源に接続しなくても太陽熱を回収できます。基本的なシステムでは、高価な温度差制御装置、タイマー、インバーターなどを使わずに構成できる可能性があります。

ただし、早朝や夕方など集熱器の温度が十分に上がっていない時間帯に循環させると、逆に浴槽の熱を外へ逃がすことがあります。実際の設計では、逆流防止、凍結防止、空運転防止、配管の保温なども検討する必要があります。

エスコットが進める「つくり、直し、使い続けられる太陽熱」

NPO法人エスコットでは、一般の方でもDIYで製作や修理ができる、軽量な「ヒートルパネル」を開発し、キットとして提供してきました。

このヒートルパネルは、2016年に国際環境賞「エネルギー・グローブ賞」を受賞しています。

エスコット「太陽熱回収システム」

ヒートルパネルは、軽量、低価格、オフグリッド運転、DIYによる製作・修理を特徴としています。しかし、太陽熱利用そのものへの社会的関心が低く、十分な普及には至っていません。

また、DIY方式で最も難しい作業の一つが、耐久性と集熱性能を両立した受光・集熱パネルの製作です。

そこでエスコットでは、すべてを自作する方法だけでなく、品質の安定した市販コレクターを利用し、ポンプ、配管、浴槽などを組み合わせる方式も検討しています。

国内メーカー数社に対し、完成した給湯システムではなく「集熱コレクター部分だけ」を供給してもらえないか相談しました。しかし、小口でのコレクター単体供給は難しく、現時点では調達に至っていません。

そのため現在は、中国の大手太陽熱機器メーカーを含む海外企業に対し、

  • 2平方メートル程度の平板型コレクター1台の試験購入
  • 日本までの輸送費を含めた見積り
  • 技術仕様書と性能試験資料の提供
  • 日本国内の代理店・供給業者の有無
  • 評価結果が良好だった場合の継続供給

について問い合わせを進めています。

これは単に安価な海外製品を輸入することが目的ではありません。

信頼できる集熱器

約10ワットの太陽光駆動ポンプ

既存の高断熱浴槽

DIYでも維持・修理できる配管

という構成により、日本の住宅でも導入可能な、低コストで単純な太陽熱回収システムをつくることが目的です。

気候変動対策は、必ずしも巨大発電所や高価な最新設備だけで行うものではありません。

夏に降り注ぐ太陽熱をそのまま入浴に利用し、その分だけガス、灯油、電気の使用を減らす。こうした身近で具体的な取組を積み重ねることも、現実的な気候変動対策の一つです。

酷暑への「適応」と、温暖化を抑える「緩和」を同時に

日曜討論で示されたように、今後の日本では、冷房、熱中症対策、建物の断熱、日射遮蔽、働き方の見直しなどがますます重要になります。

これらは、すでに起きている暑さから命を守るための対策です。

しかし、それだけでは気候変動の進行を止められません。

暑さに耐える「適応策」と、CO₂排出を減らす「緩和策」を同時に進める必要があります。太陽熱温水器は、決して派手な技術ではありませんが、給湯という日常的なエネルギー消費を着実に減らせる技術です。

電力だけでは脱炭素できない

これからの気候変動対策では、「どのように発電するか」だけでなく、「必要な熱をどのようにつくるか」という視点が不可欠です。

太陽熱温水器には、次の価値があります。

  • 太陽の熱を直接利用できる
  • ガス、灯油、電気の使用量を減らせる
  • CO₂排出量と光熱費の双方を削減できる
  • 比較的小さな集熱面積から導入できる
  • 太陽光発電やヒートポンプと併用できる
  • 災害やエネルギー価格高騰への備えにもなり得る

NPO法人エスコットでは、入手しやすい平板型コレクターなどを活用し、既存の給湯・暖房設備と組み合わせられる、低コストな太陽熱回収システムの可能性を検討しています。

太陽熱利用は、過去の技術ではありません。

電力中心の気候変動対策から一歩進み、給湯・暖房・乾燥などの「熱需要」そのものを再生可能エネルギーに置き換える。その現実的な選択肢として、太陽熱温水器の価値をもう一度見直す時期に来ているのではないでしょうか。

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